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中央アフリカ滞在記:『シャンテ・チンビ!』 ⑱のⅠ
8月23日(木)04:15

荷造りをしながら、眠れなくて 

夜明けを待っていた…

洗濯ロープに干されたシャツは未だ乾いておらず

それは未だ日本に帰りたくない俺のこころのよう。



完璧な闇が 濃紺に溶け出し 灰蒼な雲を貫くように

中央アフリカの雨季の太陽は訪れる

生命の誕生を包み込む 大きな光りに

大袈裟ではなくモーゼになった気分にさせる。


宿舎の庭にいるロバの瞳にさえ淋しさをみてしまう


ボンジュール サヴァ サヴァビァン


TOYOTA製の古い4駆に乗り、ドライバーのベルトランと

出来立てのメロディを交互に歌いながら診療所への道を行くのも

今日が最後かと思うと、湿気を帯びた朝の空気すら愛おしい


未舗装の赤いデコボコ道に 跳ね上がり

赤茶けた町並をしっかりと目の奥に焼き付けてゆく


フランスでいう凱旋門を右折する時に現われる

廃墟のマンションはバベルの塔 

朽ちたスタジアムはコロッセウム

国の過酷な歴史を ものともせず

人々は裸足で今日を歩いているのだ。


診療所に着いてすぐ 診察室に行き

プラシッドに『ンデコ・チンビ/君はともだち』の

現地語訳をしてもらったお礼にTシャツをプレゼントした~

プラシッドは俺をしっかとハグして

「ボーブ マタ クルンダロー?キミノコエハ ダイチノヨウダヨ」

と云った。

 大地のような声…最高の誉め言葉じゃないか!

 日本では言われたこと無いから 素直に嬉しかった。


アッシェが縫い物を教えてる部屋へ上がって行き

こっそり金平糖(こんぺいとう)を渡した

そこに居る全員に渡すほど、持ってなかったからだ

思いのほか喜んで 涙ぐんでいた

皆に挨拶を済ませ車に荷物を積み込んでると

バカリーが走ってやって来た

手にブルーのビーズのネックレスを持ってて

「アッシェばぁちゃんからだよーシンギラミンギって」

と俺に渡してくれた~俺はバカリーを抱きしめて

「生きるんだ!バカリー!生きてくれ!」と涙声で言った

バカリーはニコニコして抱きついてきた。。。


車に乗り込むと そこらじゅうの子供たちと一緒に

手を振りながら 見えなくなるまで

追いかけて来た ずっと 追いかけて来た…

俺は窓から身を乗り出し 大声で叫んだ

『ビガ!シャンテ!』(戻って来て歌うよ!)


空港で密輸の容疑をかけられる。最終章⑱のⅡへ続く





















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2007/10/31(Wed) | 日記 | トラックバック(-) | コメント(0) | page top↑
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